今回は、外壁リフォームの中でも見落とされがちでありながら、非常に重要な要素の一つである「コーキング」についてお話しいたします。特に「硬化不良」と呼ばれる現象について、具体例や原因、対処法までわかりやすく解説してまいります。

■ コーキングとは何か?
まず、コーキング(またはシーリング)とは、建物の外壁における「つなぎ目」部分に充填されるゴム状の素材のことを指します。外壁材と外壁材の間、あるいは窓枠と壁の接合部などに使用され、防水性や伸縮性、そして建物の揺れに対する追従性を確保するために欠かせない存在です。
本来の状態では、指で押すと一時的に凹んでもすぐに元の形に戻る「弾力性」があり、経年劣化が進むまではこの性質が保たれます。
■ 硬化不良とはどのような状態?
「硬化不良」とは、簡単に言うとコーキング材がしっかりと固まらず、適切な性能を発揮できない状態を指します。私たちが実際に現場で確認したケースでは、コーキングを指で押しても凹みが元に戻らず、はがしてみるとゼリー状になっていることもありました。
これはまさに「硬化していない」状態であり、本来あるべき伸縮性や防水性を持たないため、長期的には外壁の劣化や水の侵入リスクを高めてしまいます。
■ 硬化不良によるリスクとは?
硬化不良が起こっているからといって、すぐに雨漏りが発生するとは限りません。実際、私の経験上でも、硬化不良のある現場で直ちに雨漏りが起きていたケースは確認していません。
しかしながら、本来コーキングが果たすべき性能が損なわれているのは事実です。特に地震などで建物が揺れた際、つなぎ目が広がったとしてもコーキングが縮んで戻らなければ、そこに隙間ができ、防水性の低下や雨水の侵入リスクが高まる可能性があります。
■ 硬化不良の主な原因とは?
コーキングの硬化不良が起こる原因としては、いくつか考えられますが、特に注意が必要なのが「2液タイプ」のコーキング材を使用した場合です。
● 1液タイプと2液タイプの違い
- 1液タイプ:あらかじめ配合された状態で出荷され、そのまま使用できる。
- 2液タイプ:現場で「主剤」と「硬化剤」を混合して使用する。
2液タイプはコストが安い傾向にありますが、現場での混合ミスが起きやすく、十分に撹拌(かくはん)されていない、あるいは主剤と硬化剤の相性が悪いといったことが原因で、硬化不良が起こることがあります。
● よくあるミスの例
- 硬化剤を入れ忘れた
- 主剤と硬化剤が異なるメーカーのものだった
- 撹拌時間が不十分だった
このような事象は、施工業者の知識不足や確認不足によるミスである可能性が高いと考えられます。

■ 対処法はあるのか?
万が一、ご自宅でコーキングの硬化不良が見つかった場合、必ずしもすぐに大がかりな対応をしなければならないわけではありません。以下のような対応が考えられます。
● 緊急性は低いが放置はNG
雨漏りが発生していない限り、緊急性は低いといえます。しかし、コーキング本来の性能が損なわれているため、予防的観点からの補修や打ち替えは必要です。
● 塗装工事と同時にコーキング補修を
コーキング補修には足場の設置が必要なため、外壁塗装のタイミングと合わせて行うことでコストを抑えることができます。もし予算に余裕があるようでしたら、塗装の時期を1~2年ほど前倒しして補修を検討しても良いかもしれません。
■ 業者選びで気をつけたいポイント
新築やリフォームを計画中の方、または今後外壁塗装を検討している方は、業者に以下のような質問を投げかけてみてください。
「使用しているコーキング材は、1液タイプですか?それとも2液タイプですか?」
この質問をすることで、業者の知識レベルや施工の丁寧さを見極める一つの材料になります。実際にお客様からこのような質問をされると、施工業者側も「しっかり見られている」と感じ、いい加減な施工を防ぐ抑止力にもなり得ます。
■ 最後に:まとめ
この記事のポイントを以下にまとめます。
● コーキングの硬化不良とは?
- 指で押しても戻らない、ゼリー状のままなど、固まっていない状態。
- 本来の防水性・伸縮性が発揮できない。
● 主な原因
- 2液タイプの材料の混合ミスや相性不良。
- 撹拌不足、材料の取り違え、施工者の知識不足。
● 対処法と予防
- 雨漏りがなければすぐに対応する必要はないが、将来的には打ち替えが必要。
- 外壁塗装のタイミングと合わせてコーキング補修をすると効率的。
- 業者に1液か2液かを確認し、施工品質への意識を高める。