近年、インターネットやSNSの普及により、「DIY(Do It Yourself)」という言葉が広く浸透し、外壁塗装や住まいのメンテナンスにおいても「自分でやってみよう」と考える方が増えているように感じます。実際、「DIY 外壁塗装」といったキーワードで検索される件数も多いです。
こうした流れの中で、今回は「外装塗装DIYをおすすめしない理由」について、私自身の本音をお話しさせていただきます。
DIYへの本音
まず結論から申し上げますと、「外壁塗装のDIYには反対」です。
もちろん、すべてのDIYを否定するわけではありませんし、楽しさや達成感といった側面は理解できます。DIYには大きなリスクがあると考えています。
以下に、DIYのメリット・デメリットを整理しながら、なぜ反対するのかをご説明します。

DIYのメリット
1. 楽しさと達成感
DIYをされる方にとって最も大きな魅力は「楽しさ」だと思います。日曜大工が趣味という方も多く、自分の手で家をきれいにする作業には達成感があります。プロの職人でも、作業完了後の達成感は格別だと語るほどですから、自分の家を自分で手入れできる喜びは大きいはずです。
また、自分で手をかけた家には自然と愛着が湧いてきます。そうした心のつながりが、DIYの魅力と言えるでしょう。
2. 費用を抑えられる
業者に依頼する場合、人件費や諸経費が発生するため、一定の費用がかかります。一方で、DIYならばその分の費用をカットすることができ、費用を抑えることができます。
具体的には、100万円相当の外壁塗装工事であれば、ご自身で足場を設置し材料を揃えることを前提とすれば、40〜50万円程度に収まるケースもあるでしょう。
DIYのデメリット
1. 施工の質が落ちやすい
DIYで最も懸念されるのが「施工の質」です。見た目の仕上がりはもちろん、機能的な面でもプロとの大きな差が出ます。
例えば、塗料を均一に塗るのは非常に難しい作業です。ローラーの使い方一つとっても、塗料の粘度や壁材の相性によって適切な量や塗り方が変わってきます。素人の方が塗ると、色ムラができたり、塗料が周囲に飛び散ったりしてしまうことが多々あります。
プロの職人が100%の力で仕上げるとすれば、DIYでは20〜30%程度の仕上がりにとどまる場合もあるでしょう。
また、「密着不良」といって、塗料がしっかりと壁に密着せず、数年で剥がれてしまうケースも少なくありません。
2. 下地処理の難しさ
外壁塗装において最も重要なのは「下地処理」です。たとえ高品質な塗料を使用しても、下地がきちんと整っていなければ、その性能は発揮されません。
業者が使用する業務用の高圧洗浄機に比べ、家庭用の洗浄機(例えばケルヒャー)では水圧が足りず、壁に残った汚れや古い塗料が落としきれないことがあります。その上から塗装をしても、早期の剥がれや劣化を引き起こす可能性があります。
3. 体力・時間が非常にかかる
外壁塗装は想像以上に体力を使います。特に一人で作業を行う場合、休みの日や空き時間を使って進める必要があり、完成までに1ヶ月以上かかることもあります。
また、塗料には「適正な乾燥時間」や「重ね塗りのタイミング」といった重要な制限があります。夜間の作業は危険ですし、時間を空けすぎると塗膜の性能が落ちる恐れもあります。
4. 結果的に高くつくこともある
「DIYで費用を抑えたつもりが、数年後に剥がれや腐食が見つかり、結局業者に頼み直すことになった」というケースも珍しくありません。塗装表面がキレイに見えても、内部で劣化が進んでいることに気付きにくいため、深刻な状態になってから初めて問題が顕在化することもあります。
小さなDIYなら楽しんで取り組める?
ここまで大規模な外壁塗装の話をしてきましたが、「家の塀だけ」「壁の一部だけ塗りたい」といった小規模なDIYであれば、趣味として楽しむにはちょうどいいかもしれません。
ただし、壁の一部分だけを塗ってしまうと、色の差が目立つことがあります。そういった場合は、例えば家の北側一面など、ある程度の面積を塗ることで違和感を抑えることができます。
また、塀の塗装は面積が小さく、労力も少ないため、DIY感覚で挑戦しやすいです。ただし、塀も塗装膜の膨れなどのリスクはあるため、最低限の知識は持っておきたいところです。
DIYをするなら「安全と責任」を最優先に
「安全」と「施工の質」を考えて、安易なDIYには反対の立場を取っています。
一方で、塗装の楽しさや達成感を味わいたい、学びとしてやってみたいというお気持ちは否定しません。実際にDIYを楽しむ方も多く、その姿勢は素晴らしいと思います。ただし、安全管理や正しい知識が伴わなければ、事故や失敗につながってしまう可能性もあるのです。
最後にお伝えしたいこと

DIYを検討される際に、「お金が安く済むから」という理由だけで始めるのは、あまりおすすめできません。塗装作業は想像以上に体力と知識を要しますし、普段からDIYに慣れていない方にとっては、単に「大変な作業」で終わってしまうかもしれません。
特に問題となるのは、施工の質の部分です。「楽しいからやる」「自分の手で仕上げたい」という方であれば、DIYは良い経験になるかもしれません。ただ、その場合でも後悔しないよう、最低限の知識と準備を持ったうえで、自己責任で取り組むことが大切です。
ご自身の住まいに、最も適した方法を見つけていただけたらと思います。