最近、「解体業を始めたいのですが、どうすればよいでしょうか?」というご相談をいただくことが増えてきました。特に建設業界未経験の方やサラリーマンからの転身を考えている方にとって、解体業の起業は大きな挑戦です。
この記事では、「もし私がまったくゼロの状態から解体屋を始めるとしたら、どんな準備をするか?」という視点で、必要な手順や許可、資金のことなど、実際の経験をもとに分かりやすく解説していきます。今回は「木造住宅の解体工事を請け負う」ことを想定してご説明いたします。

1. 解体業を始めるうえで必要な許可と資格
■ 解体工事業の登録(500万円未満の工事)
解体工事を始めるにあたり、まず必要になるのが「解体工事業の登録」です。これは500万円未満の工事を請け負うために、都道府県ごとに申請が必要となるものです。登録をするためには、一定の実務経験や資格が求められます。
例えば、これまで解体工事業者に勤めていた方であれば、過去の経験を証明することでスムーズに登録が可能です。しかし、サラリーマン経験のみで建設業の実務に携わったことがない方にとっては、登録のハードルはやや高いかもしれません。
■ 建設業許可(500万円以上の工事)
次のステップとして、500万円以上の工事を請け負う場合には「建設業の許可」が必要となります。これは国や都道府県が発行する正式な許可で、取得には実務経験や経営業務の管理責任者などの条件が必要です。初期の段階では「解体工事業の登録」を優先し、業務拡大に応じてこちらの取得を目指す形が現実的です。
■ 産業廃棄物収集運搬業の許可
解体工事では、多くの廃材やがれき類が発生します。これらを現場から処分場まで運搬するには、「産業廃棄物収集運搬業」の許可が必要です。
この許可も都道府県ごとに取得が必要で、自分が工事を行う地域すべての許可を持っている必要があります。特に起業直後は、元請業者からの下請けとして仕事を受けるケースが多く、その際は廃棄物の運搬を任されることが多くなりますので、早い段階での取得が望まれます。

2. 現場で必要な資格
解体業は、重機や高所作業などリスクの高い作業が伴います。そのため、実際に現場に出るためには以下のような資格が必要です。
- 車両系建設機械運転技能講習(解体用)
重機での解体作業に不可欠な資格です。 - 足場の組立等作業主任者
足場を設置・使用する作業現場では必須。 - 石綿作業主任者
アスベスト(石綿)を含む建物を解体する際に必要です。
解体現場ではアスベスト対策の厳格化が進んでおり、石綿作業主任者の資格は今後ますます重要になると考えられます。

3. 加入すべき保険
解体業は、建物に隣接する敷地での作業が多く、万が一の事故やトラブルがつきものです。たとえば、作業中に隣の建物を傷つけてしまったり、第三者に被害を与えてしまうこともあります。
こうした事態に備え、必ず加入しておきたいのが「請負業者賠償責任保険」や「労災保険」などの各種保険です。保険加入は自社の信用を高めることにもつながり、元請業者との取引でも信頼の証となります。

4. リース業者・処分場との契約
■ リース業者との関係構築
解体業には、重機やトラックなどの大型設備が必要不可欠です。これらを購入するには高額な資金が必要となるため、多くの業者はリースを活用しています。
しかし、起業直後の企業は信用実績が乏しく、リース契約を結ぶのが難しい場合もあります。そのため、リース契約を結ぶ際には、以前勤めていた会社からの紹介や、信頼できる人物からの推薦などが役立ちます。
■ 処分場との契約
廃棄物を処理するためには、廃材の受け入れ先である処分場との契約が必要です。こちらも起業直後の事業者に対しては、一定の「信用」を求められる場合があります。
特に初めて契約する処分場では、「デポジット(保証金)」として50万円ほどを前払いするケースもあります。これは「前金」のようなもので、支払い能力を担保するための措置です。

5. 小道具や電動工具の準備
解体業においては、重機だけでなく、細かな作業に必要な手工具や電動工具の準備も欠かせません。代表的な道具には以下のようなものがあります。
- ハンマー
- バール(てこ)
- インパクトドライバー
- チェーンソー
- グラインダー など
これらの小道具も一式揃えるとなると、数十万円の初期投資が必要です。

6. 資金計画と調達方法
解体業は「先にお金がかかる仕事」です。つまり、工事を受注してもすぐに報酬が支払われるわけではなく、多くの場合、完工後の翌月や翌々月に支払いが発生します。そのため、事業をスタートするには一定の運転資金が必要です。
現実的には、最低でも100万円〜150万円程度の資金があると安心です。主に以下の支出に備えることになります。
- 作業員の人件費
- 廃棄物処理費用
- 資材や道具の購入
- 保険料の支払い など
資金が不足している場合は、「日本政策金融公庫(国民生活金融公庫)」の創業融資制度を活用する方法もあります。しっかりとした事業計画を立て、面談に臨むことで、比較的スムーズに融資を受けられる可能性があります。

まとめ:解体業を始めるための必須準備
ここまでをまとめると、解体業をゼロから始めるために必要な準備は以下の通りです。
- 許可関係の取得(解体工事業登録・産業廃棄物収集運搬許可)
- 必要な資格の取得(重機、足場、アスベスト関連など)
- 保険への加入(事故や賠償に備える)
- リース業者・処分場との契約(信用構築がポイント)
- 小道具や電動工具の準備
- 最低限の運転資金の確保(融資制度の活用も検討)
これらの準備が整えば、ようやく事業としてスタートラインに立てる状態です。その後は営業活動やネットワーク作りを通じて仕事を受注していく必要があります。

最後に:これから解体業を目指す方へ
解体業界は今後も発展が期待される分野です。いわゆる「スクラップ&ビルド」が続く限り、古い建物を取り壊し、新しい建物を建てるという流れは止まりません。つまり、解体工事は今後も絶対に必要とされる仕事なのです。
「いつかは独立して解体業を始めたい」と思っている方がいれば、準備を一歩ずつ進めて、ぜひその夢を実現させてください。そして、もし機会があれば、現場で一緒に働ける日が来ることを楽しみにしております。
一緒に業界を盛り上げていきましょう!