アスベストのレベル1〜3の違いについて|事前調査と報告義務に関してわかりやすく解説します


近年、建物の解体や改修において大きな関心を集めている「アスベスト(石綿)」の問題。特に令和4年4月に施行された法改正により、解体工事を行う前にアスベストの有無を調査・報告する義務が課せられたことをご存知でしょうか?

本記事では、アスベストの基礎知識から「レベル1〜3」の分類とその違い、さらに工事前に必要な手続きや届出までをわかりやすく解説いたします。建築業界の方はもちろん、一般の住宅所有者の方にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご一読ください。


アスベストとは?まずは基本から

アスベストとは、天然の鉱物繊維である「石綿」のことで、耐熱性・耐摩耗性・絶縁性に非常に優れていることから、かつては「奇跡の鉱物」とも呼ばれ、建材や断熱材として広く利用されてきました。

しかし、その繊維は非常に細かく、空気中に飛散しやすいため、呼吸とともに体内に取り込まれると肺の奥深くに突き刺さるように蓄積されてしまいます。その結果、肺がん、中皮腫、じん肺などの深刻な健康被害を引き起こすことが明らかとなり、現在ではその使用が全面的に禁止されています。

日本では1975年から段階的に規制が始まり、最終的には2006年にアスベストの使用が全面禁止となりました。したがって、2006年以前に建てられた建物にはアスベストが使用されている可能性が高いということを、まずは押さえておきましょう。


アスベストのレベル分類とは?

アスベストはその飛散性(発じん性)の高さにより、以下の3つの「レベル」に分類されています。数字が小さいほど危険度が高く、取り扱いに厳重な対策が求められます。

● レベル1(最も危険)

  • 特徴:発じん性が最も高く、綿状のアスベスト(吹付けアスベストなど)を含む。
  • 用途例:
    • 建物の梁・柱・天井に吹き付けられた耐火被覆材
    • 石綿含有ロックウール吹付け材
    • 機械室、エレベーター周り、立体駐車場などの構造物
  • 注意点:
    レベル1は極めて飛散しやすく、少しの振動や空気の流れでも繊維が飛び散ります。解体前に十分な封じ込め、囲い込み措置が必要です。
    作業員には防塵マスク、保護服、前室・風除室の設置が義務付けられており、作業区域の厳重な管理が求められます。

● レベル2(中程度の危険性)

  • 特徴:保温材や断熱材として、配管などに巻き付けて使われている。吹付け材よりは飛散性が低いが、依然として注意が必要。
  • 用途例:
    • ボイラー・空調ダクトの保温材
    • 配管周囲の石綿含有保温材
    • 屋根用折板裏の断熱材、煙突周りの断熱材
  • 注意点:
    崩れると一気に飛散する危険性があります。基本的には配管ごと撤去することで安全性を確保しやすくなります。

● レベル3(飛散性が低く、比較的安全)

  • 特徴:アスベストを含有した硬質な建材。加工・解体時に割れることで粉塵が発生するが、レベル1・2に比べて飛散性は低い。
  • 用途例:
    • スレート板(屋根・外壁材)
    • ビニール床タイル
    • 壁・天井・床材
    • ダクト接続部のパッキンなど
  • 注意点:
    解体や切断時に注意が必要です。令和3年の法令改正により、レベル3の建材も「特定建築材料」として扱われるようになり、適切な調査と管理が求められています。

事前調査と各種届出の義務について

令和4年4月から、一定規模以上の解体・改修工事を行う場合は、事前にアスベスト調査を実施し、結果を報告することが義務化されました。

以下の表に、各レベルで必要な届出と提出先をまとめました。

レベル事前調査結果の届出工事計画届特定粉塵作業届解体作業届出建設リサイクル法事前届
レベル1必要(Gビズ可)必要必要必要必要
レベル2必要(Gビズ可)必要必要必要必要
レベル3必要(Gビズ可)原則不要原則不要原則不要必要

※条例や自治体により異なる場合があります。事前に各自治体の担当窓口にご確認ください。

■ 提出期限の目安

  • 工事計画届・特定粉塵作業届など:工事開始14日前まで
  • 解体作業届:工事開始7日前まで
  • リサイクル法届出:作業日前まで

■ 提出先

  • 労働基準監督署(所轄)
  • 都道府県知事宛(自治体の窓口)
  • 電子申請の場合:GビズIDを利用可能

まとめ:アスベスト対策は早めの対応が鍵

アスベストは、過去に広く使用されてきたにも関わらず、その健康被害の深刻さから今では厳しく規制されている非常に危険な物質です。
建物の解体やリフォームを検討している場合には、アスベストのレベルを正しく理解し、適切な業者選びと正しい手続きを行うことが何より重要です。

特に、レベル1・2に該当する工事を行う際は、作業員の安全確保や近隣住民への配慮が必須です。
また、工事前の事前調査と届出は義務であり、怠ると罰則の対象となる可能性もあります。

GビズIDなどを活用し、スムーズな届出を行いましょう。
ご自身や周囲の健康と安全を守るためにも、アスベストに関する正しい知識を持ち、慎重に対応していくことが大切です。