今回は、少しニッチでありながら家づくりを進めるうえで非常に重要なテーマ「タンクレストイレをつけてはいけない人」についてお話しします。タンクレストイレは新築住宅の中でも圧倒的な人気を誇る設備のひとつで、実際に私たちの会社でも1階トイレはタンクレスタイプが標準仕様となっています。
その人気の理由は、デザイン性の高さや掃除のしやすさ、空間を広く使えるなど、多くのメリットがあるからです。しかしその一方で、タンクレストイレにはいくつかの明確なデメリットも存在しています。それらを理解しないまま設置してしまうと、「思っていたのと違った」「使いにくい」といった後悔につながる可能性も。
トイレは家族全員が毎日使う場所だからこそ、誰か一人が使いにくいと感じれば、その不便さは家族全員のストレスにつながります。この記事では、タンクレストイレのメリットとともに、導入前にぜひ押さえておいていただきたい5つのデメリットを解説し、それを踏まえた適性判断ができるようサポートします。
まずはタンクレストイレの基礎知識

タンクレストイレとは、便器の背後にある“タンク”が存在しないタイプのトイレです。通常のトイレは、タンク内に貯めた水をレバー操作で一気に流す構造ですが、タンクレスタイプは水を貯めることなく、水道の水圧を利用して直接流す仕組みになっています。最近では、一部ポンプを併用して水圧を補助するモデルもあります。
では、そのタンクレストイレにどのようなデメリットがあるのでしょうか。以下の5点が代表的なものです。
デメリット①:手洗いがない
タンクレストイレ最大の欠点とも言えるのが「手洗い器が付いていない」点です。従来のタンク付きトイレであれば、タンクの上部から水が出て手を洗えるようになっていますが、タンクレストイレにはそれがありません。
これにより、別の場所に手洗いスペースを設ける必要が出てきます。たとえば、トイレ内に小型の壁付け手洗い器を設置することもできますが、施工費や器具代として10万円程度の追加費用がかかり、水はねもしやすく、掃除の手間も増えてしまいます。
おすすめの対処法としては、トイレの近くに洗面台を設置し、トイレ後の手洗い場所を兼用することです。特に、脱衣所とは別の場所に洗面スペースを設けることで、来客時にもプライベート空間を見せずに済み、生活導線もスムーズになります。
デメリット②:水圧が低いと使用できない
タンクレストイレは水道の水圧を利用して水を流す構造のため、ある程度の水圧が確保されていないと正常に機能しません。高台の住宅地や、2階・3階のトイレでは、水圧不足により設置自体が難しいケースもあります。
一応、水圧を補助するポンプを設置すれば対応可能な場合もありますが、機器代や設置費用、維持管理のコストもかかるため注意が必要です。設置前には必ず現地の水圧を調査し、タンクレスに対応できるかどうか、住宅会社に相談しておきましょう。
デメリット③:停電時に使いづらい
意外と見落とされがちなのが、停電時の使い勝手です。タンクレストイレは内部に「電磁弁」と呼ばれる電気で開閉するバルブがあり、ここを通って水が流れます。つまり、停電時にはこの電磁弁が作動せず、水を流すことができません。
一部モデルには、非常時用の手動レバーがついているものもありますが、トイレ本体の奥深くにあるため、操作がやや煩雑です。対策としては、乾電池で電磁弁を作動させるタイプのタンクレスを選ぶこと。万が一の際にも、通常と同じように使えるため安心です。
デメリット④:初期費用が高い
タンクレストイレは、高機能・高デザイン性を誇る反面、タンク付きタイプに比べて価格が1.5倍程度高くなります。標準仕様でタンクレスを採用している会社であれば問題ありませんが、オプションとして導入する場合は、10万円前後の追加費用を覚悟しておく必要があります。
毎日使う場所だからこそ「快適さにはお金をかけてもいい」という価値観の方にはおすすめですが、できる限り費用を抑えたい方には不向きかもしれません。
デメリット⑤:修理費が高い
タンクレストイレは内部に多くの電子部品を備えているため、タンク付きに比べて修理費が高くつく傾向があります。例えば、電磁弁の故障やセンサー不具合など、数万円の出費になるケースも。
ただし、これは近年の高機能タンク付きトイレにも言えることで、どちらにしても多機能化による修理費の増加は避けられません。今後は普及とともに部品代も下がり、修理費も安くなることが期待されます。
タンクレストイレが合わない人の特徴

以上の5つのデメリットを踏まえると、以下のような方にはタンクレストイレの導入をおすすめしません。
- トイレ内に手洗い器を設けるのが難しい、またはその予算がない方
- 水圧が足りない地域や環境にお住まいの方
- 少しの初期費用・修理費用も抑えたいと考えている方
特に、家族構成や来客の多さ、住宅の立地なども考慮しながら、自分たちにとって本当に使いやすいトイレを選ぶことが大切です。
まとめ:メリットとデメリットをしっかり理解して選択を

タンクレストイレは、シンプルでスタイリッシュな見た目に加えて、掃除のしやすさや空間の有効活用といった魅力があります。しかし、手洗いの有無や水圧、停電時の対応、費用面など、設置前にしっかりと理解しておきたいポイントも多くあります。
だからこそ「後で知って後悔」するのではなく、「あらかじめ知って納得して選ぶ」ことが重要です。タンクレストイレのメリットを100%活かすためにも、今回ご紹介した内容を参考に、慎重かつ前向きに検討していただければと思います。