なぜ、鉄骨造より木造をオススメするのか?性能、コスト、計画毎に徹底解説

家づくりを検討する際、「木造と鉄骨造、どちらが良いのか?」という質問は非常によくいただきます。

多くの方は「鉄骨造の方が強そう」「木造は一般的だけど耐久性が不安」といった漠然としたイメージを持っているのではないでしょうか。しかし、建築のプロとしてはっきりお伝えしたいのは、「なんとなくのイメージだけで構造を選ぶのは非常にもったいない」ということです。

この記事では、木造と鉄骨造それぞれのメリット・デメリットを【性能】【コスト】【計画】という3つの観点から丁寧に比較し、どのような住宅にどちらの構造が適しているのかをわかりやすくご紹介します。


■ なぜ構造選びが重要なのか?

構造は家の「骨組み」であり、建物の耐久性や快適性を根本から支える非常に重要な要素です。そして、他の部分と違って後から変更することができません

例えば、屋根や外壁の張替え、室内のクロスや断熱材の交換は後からでも可能です。もちろん費用や手間はかかりますが、リフォームで対応することはできます。しかし、構造体や基礎は家を解体して一から建て直すレベルの話になります。

だからこそ、「構造」は家づくりにおいて最初にしっかり検討すべき最重要項目だといえるのです。


■ 木造と鉄骨造の種類について

本題に入る前に、構造の分類について少し補足します。

  • 鉄骨造:今回は「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」をまとめて「鉄骨造」と表記します。
  • 木造:在来工法(木造軸組工法)を基準にしています。

このうえで、性能・コスト・計画という3つの視点から、木造と鉄骨造を比較していきましょう。


【1】性能の比較:耐久性・断熱性・耐震性・防火性

性能項目鉄骨造木造
耐久性50~100年以上(軽量鉄骨で50年、重量鉄骨で100年以上)100年以上(適切な施工で)
断熱性(保温性)△(鉄は熱を通しやすい)◎(高気密・高断熱が可能)
耐震性◎(3階建て以上では有利)◎(耐震等級3+制振装置で同等の性能)
防火性◎(構造体自体が不燃)○(内装や外壁で十分対応可能)

● 木造は実は高性能

木造住宅と聞くと「燃えやすそう」「地震に弱そう」というイメージを持たれる方もいますが、実際は逆です。

木は燃えても表面が炭化するだけで、中身の構造はしっかり残る性質があります。一方、鉄は火災時に高温で変形・脆化するリスクがあります。火に対して一概に「鉄の方が安全」とも言えないのです。

また、木造は断熱材の充填がしやすく、高気密・高断熱住宅をつくりやすいという点で冷暖房効率が良く、暮らしの快適性に大きく関わります。

耐震性能についても、構造計算をしっかり行い、耐震等級3を取得することで鉄骨造と同等の強度が確保可能です。


【2】コストの比較:初期費用とランニングコスト

建築条件:30坪2階建て鉄骨造木造
初期費用(構造・基礎含む)約600~700万円約400万円
光熱費△(断熱性が低いため高くなりがち)◎(省エネ性能が高い)

鉄骨造は構造躯体の費用が高いだけでなく、重量があるため基礎を強化する必要があり、地盤改良費も高額になるケースが多いです。その結果、同じ広さでも初期費用は木造より1.5倍程度高くなる傾向にあります。

さらに、鉄は熱を通しやすく、断熱性が低いため、冷暖房の効率が悪く光熱費がかさむこともデメリットのひとつです。

木造は施工性が高く、基礎も比較的簡易で済むため、コストパフォーマンスに優れています


【3】計画の自由度:構造的な制約と都市計画法への対応

項目鉄骨造木造
3階建て以上の設計◎(耐震性確保が容易)△(構造上制限が多い)
防火地域・準防火地域での設計◎(対応しやすい)○(素材選定に制限あり)
大空間・大開口の設計◎(スパンを飛ばしやすい)△(特殊工法が必要)

都市部でよく見られる防火地域や狭小地においては、鉄骨造の方が柔軟な計画が可能です。特に3階建て以上や、LDKを広く取りたい場合、大きな窓を取りたい場合などには鉄骨造が力を発揮します。

一方、木造でもSE工法やストローグ工法を使えば、大空間や大開口を実現できますが、追加コストが200万円前後かかることもあります。


■ 結論:木造が向いているのはこんな人・こんな土地

  • 2階建てまでの住宅を建てたい方
  • 高気密・高断熱住宅で省エネ性能を重視したい方
  • 初期費用を抑えてコストバランスの良い家を建てたい方
  • 一般的な地域・法規制の少ない土地で建築予定の方

一方で、以下のような条件であれば鉄骨造が有利になります。

  • 3階建て以上を検討している
  • 狭小地で建物を縦に伸ばす必要がある
  • 防火地域・準防火地域に該当する土地
  • 柱のない大空間や大開口を希望している

■ まとめ:構造選びは「正しく理解して、自分に合った選択」を

構造は「きっちり施工されていること」が大前提ですが、それだけでは十分ではありません。性能・コスト・計画のバランスを理解し、自分たちの土地条件や暮らし方に合った構造を選ぶことが最も大切です。

注文住宅だけでなく、建売住宅や中古住宅を検討している方も、「この家はどんな構造なのか」をしっかりチェックすることで、より良い住まい選びができるはずです。

これから家づくりを考えている皆様にとって、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。構造に関する理解が深まり、より納得感のある家づくりにつながることを願っています。