【基本!】家の強度を決める基礎の簡単な見分け方を徹底解説!

【基本!】家の強度を決める基礎の簡単な見分け方を元大工が徹底解説!

「この家って本当に地震に強いんですか?」

家づくりを考える時、誰もが抱くこの素朴な、しかし最も重要な疑問。私もこれまでに、数えきれないほどのお客さまからこの質問を受けてきました。

「大丈夫ですよ、うちは最新の耐震技術を使っていますから」

営業マンは、きっと自信満々にそう答えるでしょう。でも、その言葉を鵜呑みにする前に、少しだけ足元に目を向けてみてください。どんなにお洒落で、どんなに頑丈な建物も、その全てを支えているのは、地面の下にある「基礎」と呼ばれるコンクリートの部分です。

正直に言います。この「基礎」造りは、建築会社によって天と地ほどの差があります。悲しいことに、見えない部分だからこそ、コストカットの対象になりやすい部分でもあるのです。

壁紙や床板は、気に入らなければ後からでも張り替えられます。基礎を一度造ってしまったら、二度とやり直しはききません。

この記事では、そんな家づくりの根幹である「基礎」が、信頼できるものかどうかを見極めしょう。

あなた自身の目で見分けるための「5つのチェックポイント」を、私がこの業界で見てきたリアルな話も交えながら、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。

その四角い穴、大丈夫?「基礎の換気方法」で強度が変わる

その四角い穴、大丈夫?「基礎の換気方法」で強度が変わる

まず、一番分かりやすく、そして重要なチェックポイントが「換気方法」です。

昔ながらの「床下換気口」は、もはや時代遅れ?

昔の家の基礎をよく見ると、ところどころに長方形の穴が開いているのを見たことがありませんか?あれは「床下換気口」といって、床下に湿気が溜まり、シロアリが発生するのを防ぐために、風を通す目的で設けられていました。

この方法は、基礎の強度という観点から見ると、大きな弱点を抱えています。

基礎は、中に入っている鉄筋とコンクリートが一体となって、その強度を保っています。換気口を設けるということは、その連続したコンクリートに穴を開け、中の大事な鉄筋をブツブツと切断してしまっているのと同じこと。これでは、地震の揺れに対して、本来の力を発揮できるはずがありません。

今の主流は「基礎パッキング工法」

そこで、今の時代の家づくりで主流となっているのが、基礎に穴を開けずに換気する「基礎パッキング工法」です。

これは、基礎のコンクリートとその上に乗る木材の土台との間に、特殊なパッキン材を挟み込む方法。このパッキンに設けられた無数のスリットから、基礎の全周にわたって風が通り抜ける仕組みです。

この方法なら、基礎に一切の欠き込みをしないのでコンクリートが持つ本来の強度を全く損なうことがありません。 基礎全体で換気ができるため、湿気が溜まりにくく、家の耐久性も向上します。

あなたが検討している住宅会社の基礎が、昔ながらの「換気口」タイプなのか、それとも強度を落とさない「基礎パッキング工法」なのか。その会社の家づくりに対する姿勢を見極める最も簡単な試金石です。

地震の力に抵抗する「ハンチ補強」という一手間

次に注目してほしいのが、「ハンチ」と呼ばれる補強の有無です。これは、少しマニアックな部分ですが、基礎の強度を格段に向上させる、非常に重要な要素です。

基礎の「角」を補強する、見えない工夫

「ハンチ」とは、基礎の立ち上がり部分(壁状になっている部分)の、角の内側に、コンクリートを三角形(斜め)に増し打ちする補強のことです。もちろん、その中には鉄筋もしっかりと追加で配筋します。

地震で家が揺れる時、最も大きな力が集中するのは、この「角」の部分。ハンチ補強は、その一番弱い部分をピンポイントで補強することです。地震の力で基礎が歪んだり、ひび割れたりするのを防ぐ、いわば柔道の受け身のような役割を果たします。

手間とコストを惜しまない、誠実さの証

このハンチ補強を施工するには、専用の型枠が必要になりますし、鉄筋やコンクリートの量も増えるため、当然、費用と手間がかかります。

建築会社の中には、こうした見えない部分のコストを削り、簡単な造りの基礎で済ませてしまうところも少なくありません。しかし、その有無で、大地震が来た時の基礎の粘り強さは、全く違ってきます。

このハンチは、家が完成してしまうと完全に見えなくなってしまいます。必ず、工事中の現場を見せてもらうか、過去の施工写真で「角に、ちゃんと斜めの補強が入っているか」を確認させてもらうようにしましょう。

たかが3cmされど3cm。「基礎の厚み」が明暗を分ける

たかが3cmされど3cm。「基礎の厚み」が明暗を分ける

次にチェックすべきは、基礎のコンクリートの「厚み」です。 法律で定められた最低限の基準と、本当に安心できる基準とでは、大きな差があります。

法律基準の「120mm」と、安心基準の「150mm」

建築基準法で定められている、基礎の立ち上がり部分の厚みは「120mm(12cm)」以上。しかし、これはあくまで、ギリギリの最低ラインです。

想定を超えるような大地震が来た時のことを考えると、やはりコンクリートは厚ければ厚いほど、割れにくく安心です。そのため、多くの優良な工務店では、法律の基準に30mm(3cm)上乗せした「150mmを標準の仕様としています。

たかが3cm、と思うかもしれません。この3cmの差が、万が一の時に、あなたの家族の命を守る最後の砦になるかもしれないのです。ハンチ補強と同様、これも費用がかかる部分なのです。建物の価格が相場より安い場合には、この厚みが削られている可能性があります。必ず、図面や仕様書で確認するようにしてください。

どんなに良い設計も、造る「人」次第。「施工品質」の見極め方

どんなに良い設計も、造る「人」次第。「施工品質」の見極め方

どれだけ頑丈な設計をしても、それを実際に形にする現場の品質が低ければ、絵に描いた餅です。「施工品質」という、目に見えにくい部分をどうチェックすれば良いのでしょうか。

腕の良い職人が、余裕のある工期で造っているのか?

高い品質の基礎を造るには、腕の良い基礎屋さんが、適正な工期と単価で、丁寧に仕事をすることが不可欠です。

しかし、以前の動画でもお話ししましたが、業界には、極端に短い工期や、信じられないような安い単価で仕事を発注する会社も存在します。そんな環境では、良いものができるはずがありません。

一つの目安として、40坪くらいの家なら、コンクリートを流し込んだ後の養生期間(固まるのを待つ期間)も含めて、1か月前後の工期が確保されているか。これは、確認すべきポイントです。

現場監督は、あなたの家を見てくれていますか?

もう一つ、重要なのが現場監督の管理体制です。一人の現場監督が、同時に20棟も30棟も現場を抱えている…そんな嘘みたいな会社も残念ながら存在します。

多数の現場を抱えていれば2週間に1回くらいしか現場に来られず、まともな品質管理や施工チェックができるはずがありません。その会社の現場監督が、一人あたり何棟くらいの現場を担当しているのか。これは、会社の体制そのものの誠実さを測るバロメーターになります。勇気を出して、ぜひ質問してみてください。

全ての根拠となる「構造計算」はされているか?

全ての根拠となる「構造計算」はされているか?

そして、最後の5つ目。これが、これまでの4つのポイント全ての根拠となる、最も重要な項目です。それは、「構造計算」を行っているかどうか。

「法律で義務じゃないから、やらない」は本当か?

「構造計算」とは、その建物に地震や台風などの力がかかった時に、どの部分にどれくらいの力がかかり、どう変形するのかを、科学的に計算することです。

構造計算を事前に行うことで、建物の形や重さに合わせ、一棟一棟の最適な鉄筋の量や配置を決めることができる。つまり、オーダーメイドで、本当に強い基礎を設計することができるのです。

ここからが重要です。

現在の建築基準法では、木造2階建て以下の住宅では、この構造計算が義務付けられていません。そのため、「法律で決められていないから」という理由で、コストと手間のかかる構造計算を省略してしまう住宅会社が、数多く存在するのです。

構造計算の有無で、倒壊率は変わる

過去の大地震のデータでは、3階建ての木造住宅の方が、2階建ての住宅よりも倒壊の割合が少なかったという結果が出ています。

本来なら、背の高い3階建ての方が揺れやすく倒壊リスクは高いはず。こんな結果になったのは、構造計算をしていたかどうかの差に他なりません。

法律で決められているかどうか、ではありません。何十年も安心して暮らせる家を建てるために、基礎を含めた建物全体の構造計算を、当たり前のこととして行ってくれる。そんな住宅会社を選ぶべきなのは、言うまでもありません。

あなたの家は、本当に「基礎」から考えられていますか?

【基本!】家の強度を決める基礎の簡単な見分け方を元大工が徹底解説!

基礎は、一度造ってしまえば、もう二度と見ることができなくなる部分です。だからこそ、私たちは、家づくりを考える最初の段階で、そこに最大の注意を払わなければなりません。

  1. 換気方法は、強度を落とさない基礎パッキング工法か?
  2. 地震の力に抵抗するハンチ補強は、きちんと施工されているか?
  3. 基礎の厚みは、安心基準の150mmを確保しているか?
  4. 適正な工期と管理体制で、高い施工品質が保たれているか?
  5. 全ての根拠となる、建物全体の構造計算は行われているか?

デザインや設備といったお客様の目を引く部分にコストをかけ、見えない基礎の部分は、法律ギリギリの最低限の基準で造られている。そんな家が、世の中にたくさんあるのは紛れもない事実です。

しかし、それを知らずに建ててしまうのと、理解した上で選ぶのとでは、全く意味が違います。あなたの家族の安全を守る、最も大切な「基礎」。ぜひ、今回紹介した5つのポイントで、その強度をあなた自身の目で見極めてほしいと思います。