住まいの安全性を保つ上で、建物の「基礎」はとても重要な部分です。しかし、ある日ふと家の基礎部分に「ひび割れ」を見つけてしまったら…「これは放っておいても大丈夫なの?」「すぐに修理しなきゃいけないの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、基礎のひび割れが発生する原因や、どのような状態ならメンテナンスが必要なのかを丁寧に解説します。ご自宅の健康状態を見極めるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
基礎のひび割れを放置するとどうなる?

住宅の基礎に発生したひび割れを「少しの割れだから大丈夫だろう」と軽く見て放置してしまうと、思わぬリスクにつながる可能性があります。
ひび割れから雨水がコンクリート内部に侵入し、内部にある鉄筋が錆びてしまう恐れがあるのです。鉄筋が錆びると膨張し、さらにコンクリートを押し広げてしまうため、ひび割れが拡大し、基礎全体の耐久性が損なわれることも。実は、ひび割れの「細さ」や「小ささ」に関係なく、水が入り込むすき間があるだけで、劣化は着実に進行してしまいます。
つまり、ひび割れの大きさに関係なく、見つけたら注意深く観察し、適切なタイミングで対処することが大切なのです。
まずは「ヘアークラック」かどうかを確認

ひび割れの状態を見極めるために、まず注目したいのが「ひび割れの幅」です。最も一般的に見られるのが、幅0.3mm以下の非常に細かいひび割れで、これを「ヘアークラック」と呼びます。
名前の通り、髪の毛のように細いひび割れで、一見すると問題なさそうに思えるかもしれません。しかし、ヘアークラックであっても雨水の侵入は起こり得るため、決して油断は禁物です。
とはいえ、ヘアークラックの段階では、構造的な問題が生じているケースは少ないため、「今すぐ危険」という状態ではありません。この段階でのひび割れは、いわば「そろそろメンテナンスのサイン」と考えるのがよいでしょう。
こんな状態なら要注意
ヘアークラックの中でも、特に注意すべきパターンがあります。
- 複数のひび割れがあちこちに発生している
- ひび割れが基礎の上下(縦全体)に伸びている
- 横方向にひび割れが広がっている
通常、基礎のひび割れは地震や不同沈下などの影響で「縦方向」に入ることが多いです。ところが、横方向のひび割れは、外部から大きな力が加わったり、設計や施工に何らかの問題があるサインとも考えられます。
「細いからまだ大丈夫」と判断せず、このようなパターンに当てはまる場合は、できるだけ早めに補修や専門業者への相談を行うことが重要です。
幅0.3mm以上なら「構造クラック」の可能性大

もう一段階深刻なひび割れが、幅0.3mm以上・深さ4mm以上の「構造クラック」と呼ばれるものです。別名「貫通クラック」とも呼ばれ、基礎の表面だけでなく、内部の鉄筋まで影響が及んでいる可能性が非常に高い状態です。
このようなひび割れは放置していると、建物全体にゆがみが出て「家が傾く」といった深刻な被害に発展する危険性もあります。
構造クラックは、特に基礎の換気口の角部分に発生しやすいため、その付近は定期的に点検しておくと安心です。もし、明らかに目立つひび割れがあれば、早急に専門業者に相談し、適切な診断と補修を受けることを強くおすすめします。
ひび割れの幅はどう測ればいいの?

「0.3mm以上か未満かなんて、素人にはわからない…」という方もご安心ください。ひび割れの幅を測るための専用の道具「クラックスケール」が、ホームセンターや通販で数百円ほどで購入可能です。
透明な板に0.1mm単位で線が引かれており、それをひび割れ部分に直接あてて目視で測定するだけなので、使い方もとても簡単。1つ持っておくと、ご自宅のメンテナンス判断にとても役立ちます。
ひび割れは“お家からのサイン”

ひび割れを見つけたということは、家が「そろそろ全体的に点検してほしい」と教えてくれているサインかもしれません。
外壁や屋根、防水部分なども経年劣化により傷みが出始めている可能性があります。気になるひび割れがある場合には、部分的な補修だけで済ませようとせず、家全体のメンテナンス時期だと捉えて、専門家の診断を受けることをおすすめします。
まとめ:見逃さず、早めの対処を
住宅の基礎は、見た目ではわかりにくい部分ですが、家を支える大切な土台です。基礎にできたひび割れは、小さなものでも雨水の侵入や鉄筋の錆び、最悪の場合は家全体の構造にまで影響を及ぼすリスクがあります。
以下のポイントを押さえて、賢く対応しましょう。
- 幅0.3mm以下のヘアークラックは、メンテナンス時期のサイン
- 横方向や広範囲に及ぶひび割れは、早めの対処が必要
- 幅0.3mm以上・深さ4mm以上の構造クラックは、即専門家に相談を
- クラックスケールを使って簡易測定が可能
- 家の他の部分の点検も同時に行うと安心
ひび割れは不安に感じることも多いですが、早期発見・早期対処を心がけることで、余計な出費や工事を避けることができます。日頃から家の状態をよく観察し、「家の声」に耳を傾けてあげましょう。
そして、「あれ?」と思ったら、無理に自分で判断せず、専門の業者に相談することが安全・安心な住まいを守る第一歩です。